絵本と童話の世界

kintarou

ひさの星

ひさは無口で おとなしいわらしであった
犬に襲われそうになった赤子を助け 自分は怪我をしても 怪我の原因を親には言わない
増水した川に落ちた政吉(まさきち)を助け 岸に押し上げる
政吉は濡れネズミで「ひさが ひさが」と 一人ワァワァ泣いて帰る
政吉の親は ひさが川に突き落としたと思い ひさの親に文句を言いに行き
ひさの母親はひたすら謝る
しかし事実は全く違う
政吉を助けた後 ひさは ごうごうと叫ぶ泥川に沈んでしまったのだ
ひさが見えなくなった夜から 東の空に青白い星がひとつ輝き始めた


岩崎ちひろさんの絵が おとなしいけれど周りを包み込む優しさと芯の強さを持つ
「ひさ」とマッチしていて 見惚れてしまう
小さい子供たちを庇い助けるひさの心根を 私も少しは見習いたいと思う